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『地下のまる穴 2』

「『地下のまる穴 1』」の続き
原著作者「怖い話投稿:ホラーテラー」「匿名さん」 2009/10/20 19:41

Bは「…仕方ないわ。降りよう」と言い出しました。
私は「えっマジで…?」と返事をしました。
あの得体の知れない階段を降りるのはすごく嫌でしたが、トイレ内にはもはや隠れる場所もなく、
走り出したところで、暗闇の中でしかも場所がよく分からないので、捕まるだろうと思いました。
深夜の宗教施設という特殊な状況下で、判断力も鈍っていたのかもしれません。
足音がもうすぐトイレ付近に差しかかる中、
私とBは個室の扉を開き、足音を忍ばせながら下への階段を降りました。
階段はコンクリート造りの階段で、長い階段なのかと思っていましたが、意外にも10段くらいで下に着きました。
真っ暗闇なので何も見えないのですが、
前を歩いていたBが、降りた突き当たりの目の前にあったのだろう扉を開きました。
中には部屋がありました。
部屋の天井にはオレンジ色の豆電球がいくつかぶら下がり、部屋全体は淡いオレンジ色に包まれていました。
私とBはその部屋に入ると、扉をそっと静かに閉めました。
部屋を見渡すと、15畳くらい(よく覚えていません)の何もないコンクリート造りの部屋で、
真ん中には大きく円状のものがぶら下がっていました。
説明しにくいですが、巨大な鉄製のフラフープみたいなものが縦にぶら下がっている感じです。
そのフラフープは、部屋の両隅の壁に付くくらい巨大なものでした。
私とBはそんなのを気にせずに、扉の前で硬直していましたが、
私が「Aたちは?おらんじゃん…」と小さな声で言うと、
Bは「わからん、わからん…」と、ひきつった表情で言っていました。
そして、私たちが聞いていた足音が、予感通りトイレの中に入ってきたのが分かりました。
真上から足音がコンクリートを伝って響いてきました。
その足音は3人~4人くらい。私たちはジッと動けないまま、扉の前で立ち尽していました。
なにやらブツブツ話し声が聞こえてきましたが、内容まで聞きとれません。
話し合うような声に聞こえましたし、それぞれがなにかをブツブツ呟いているようにも聞こえました。
Bは下をうつむいたまま目を閉じていました。

どのくらい時間が経ったのか分かりません。
私はなにか楽しい事を思い出そうとして、
当時流行っていたお笑い番組『爆SHOW☆プレステージ』を必死に思い出していました。
いつのまにかトイレ内のブツブツ呟く声は、3~4人から10人くらいに増えている事に気づきました。
上にいる連中は、私たちがココに隠れている事を知っているのではと思いました。
怖くてガタガタ震えてきました。ブツブツブツブツと気味の悪い話し声に気が遠くなりそうでした。
突然ブツブツ呟く声が消えると、ガタンッと扉が二つ連続して開く音が聞こえた後、さらにガタンッと音がしました。
そのガタンッはトイレの個室を開く音だとすぐに分かり、鳥肌が立ちました。
『他の個室には最初から人が入っていたんじゃないか』
私と同じようにBがその可能性に気づいたのかどうかは分かりませんが、
さっきは鍵が閉まっていたのですから、外から開けたのではなく、個室から誰かが出てきたんだと思ったのです。

そして、階段を降りる足音が聞こえてきました。限界でした。
階段を降りきるまで15秒とかからないでしょう。私はBの腕をギュッと掴みました。
階段を降りる足音が中間地点くらいになった時、
Bは「うわぁぁぁ~」と情けない悲鳴をあげながら私の手を振り払い、部屋の奥に走り出しました。
その時です。Bがあの丸い輪をピョンとジャンプした瞬間、一瞬でBの姿がなくなったのです。
私はただただ唖然としました。
フラフープ状の丸い輪の向こう側に飛び越えるはずなのに、Bが忽然と姿を消してしまった事に、
恐怖よりも放心状態になりました。
私は扉から少し離れ、扉とフラフープの間に立っていました。
『謝ろう!』と思いました。
『すみません。勝手に入ってしまいました。本当にすみません』
そう言おうと思いました。
扉がゆっくり開きました。開いた扉の隙間から、わざとらしくひょいっと顔だけが現れました。
王冠のようなものをかぶった老人が、顔だけ覗かせこちらを見ていました。
満面の笑みでした。
おじいさんかおばあさんかは分かりませんでしたが、
長い白髪に王冠をかぶったしわくちゃの老人が、満面の笑みで私を見ていました。
それは見た事もない悪意に満ちた笑顔で、私は一目見て『これはまともな人間ではない』と思いました。
話が通じる相手ではないと思ったのです。
その老人の無機質な笑顔に一瞬でも見られたくないと思い、
「はうひゃっ!」と情けない悲鳴が喉の奥から勝手に出てきて、
私もまたBと同じようにフラフープ状の輪に飛びこみました。

「『地下のまる穴 3』」に続く

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