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『邪霊の巣窟』2/2

「『邪霊の巣窟』1/2」の続き
原著作者「怖い話投稿:ホラーテラー」「匿名さん」 2009/10/19 21:13

あの後、自分は高校に進学して、高校を卒業するとそのまま就職して町を出ました。
Aは高校卒業後は大学に進学して、自分と同じく町を出ました。
自分たちは同棲という形で一緒に暮らして、Aの大学卒業後に結婚しました。
それからさらに月日が経って、自分たちに娘が出来て、
その子が五歳になった時に、実家で法事がある為に帰省する事になったのです。

実家に帰る途中。自分たちはあの神社の前を通りました。鳥居や神社自体も新しくなり、昔と全く違う様子でした。
あの事件。一人の死者が出てしまった事件。
あの時、自分がMの死を確認しなければならなかった理由・・・それは、
「ねぇ・・・T・・あの時さ・・私たちがここで襲われてる時・・・あの悪霊の中に・・・Mがいたよね?
 それを見たから、あの時確認に行ったんでしょ?」
Aは思い出した様に言いました。
「うん・・・」
そう答えると、二人とも黙ってしまいました。
「ママ・・おトイレ行きたい」
娘のEがそう言い出し、自分たちは実家へ急ぎました。

実家に帰って少しくつろいでいると
「E、お外で遊んでくるー」と娘が言ってきたので、
「車に気をつけてなーあんまり遠くに行くんじゃないぞー」と声をかけました。
そしたらなかなか娘が帰って来ないので、心配して探しに行こうとしたら、半ベソかきながら帰ってきました。
「どこに行ってたんだ。心配してたんたぞ」と言うと、娘の口から信じ難い言葉が出てきたんです。
「あのね。変なお兄ちゃんが、こっちにおいでって言ってきたの。E行かないって言ったら、お手々引っ張られたの・・・。
 それでね、後ろから違う人に引っ張られて、お寺(あの神社の事)に入れられて、出れなくなってたの」
自分は驚愕しました。まさか・・・と。隣にいたAも顔が真っ青になっていました。
「それで?どうなったの?何にも見なかった?体はなんともないの?」とAが慌てて確認すると、
「うん・・・なにも見てないよ・・。少し待ってたら、ドアが開いたから、帰って来たの・・・パパ、ママ、ごめんなさい」
泣き出したEを、Aが抱きしめて必死でなだめました。

自分はすぐに兄に連絡を取りました。
兄はあの後に、そのまま本山に戻り修行をしたいと申し出たのです。
兄に色々思う所があったらしく、両親や退魔士の方たちの了承を得て本山に行きました。
兄は直ぐに電話に出ました。
『おぉ、Tか。久しぶりだなー。俺も明後日くらいに戻る・・・
 お前・・なんでそんな状況になってるんだ?なんだそれは!!お前何があった!!」
兄は何か気づいたみたいで、自分が状況を説明すると、
『いますぐ町から逃げろ!!いや・・手遅れか・・・
 いいか?いますぐ両親やあの神社の管理人に言って、あの神社に立て篭もるんだ。
 絶対に出るなよ!!俺らもすぐに行くから』
「は?冗談だろ?なんであの神社に・・・どういう事たよ!!」
自分はサッパリ状況が掴めず困惑していると、
『お前らを狙ってる奴な、マジで洒落にならん!!怨霊とか邪霊とかそんなレベルじゃない。まさに魔物だよ!!
 信じられん・・どうやったらそんな風になれるんだ・・・。
 いいか。すぐに神社に行くんだ!!』
と言って電話が切れました。

自分は困惑しながらも皆に事情を話し、また大騒ぎになりつつも神社に立て篭もりました。
そして、ご神体のある部屋で朝を待つ事にしたのです。

深夜遅くなり、そろそろ眠気がきた時、
「おい!!俺だ!!来てやったぞ!!開けてくれ!!」と、兄の声が正面の入口から聞こえてきました。
しかし、自分たちは兄のはずがないと思い、「入りたいならそっちの方から入ればいいだろう」と言いました。
自分とAは、そいつが誰だか判っていました。
「M・・・Mなんだろう?判っているんだよ・・どうしてなんだ?どうして俺たちを・・・」
と言った瞬間に入口が開き、そこには当時のままのMがいました。
「あ・・・Eを連れて行こうとしたお兄ちゃん」とEが言いました。
やっぱり・・・。自分はそう思いました。
そしておそらくは、Eを後ろから引っ張って神社にいれたのは、この神社に祭られている神様なんだと思いました。
正常に戻った神様は、あの事件の被害者である自分たちの娘を守ってくれたのだと感じました。
この神社に入ってご神体のそばにいて、そんな気がしていたのです。
「あのお兄ちゃん、どうして体が真っ黒でお目々がないの?」と娘が言いました。
そしてMを再び見てみると、全身がどす黒いオーラのように包ままていました。
目もないのではなく、真っ黒な目だったのです。
そして此処にいるだけで気を失いそうになるくらいの憎悪、怨念、殺意などの波動が溢れ出ていました。
魔物。
兄が言った事を思い出しました。まさに魔物でした。
どうやったら、人間だったものがこんな風になれるのか・・・。
自分は家族を守る使命感と、目の前の存在に対する恐怖心で震えていました。


原著作者「怖い話投稿:ホラーテラー」「匿名さん」 2009/10/19 23:00

自分たちとMはしばらく睨み合ったままでした。
おそらくMは、自分たちに襲い掛かろうにも、ご神体が邪魔して入る事は出来ないのだろうと思いました。
自分は二人の盾になるように前に出て、AはEをしっかりと抱きしめていました。
そして、朝になればMの力も弱まり、駆け付ける退魔士たちに今度こそ浄化される・・・。
Mはそれを解っているかの様に、自分たちとご神体を凄い形相で睨みつけていました。
そして何かを口走り、真っ黒な目で自分とA、Eを交互に睨みながら、消えていきました・・・。
朝日が昇っていたのです。
自分は終わった・・・と安堵しました。Aは泣いていました。Eは寝ていました。

しばらくして兄たちが駆け付けて来て、改めて浄化を行う事になりました。
相手が相手なだけにかなり手こずってたみたいですが、無事に浄化が終わったと告げられました。

そして自分たちはご神体の部屋に呼ばれて、今回の事、そして前回の事件の発端と真相を語られる事になりました。
まずMですが、あそこまで魔物化してしまうと浄化や浄霊は不可能との事で、消し去るしかなかったと言われました。
魂の消滅。
それは、前世から続いてる魂をなかった事にされ、あの世に行く事はおろか、生まれ変わる事も出来ない、本当の死。
これ程恐ろしい事はないと思いました。
そして、前回の事件でMは変死だと聞かされてましたが、真相は自殺だったそうです。
クラスメイトの怪我も、Mの仕業だったと言われました。
あの悪霊たちをあの時操っていたのがMだった事も、
始めから自分とAを標的に計画された肝試しだったらしいという事も告げられました。
Mを浄化した時に全て判ったと兄は言っていました。
Mは自分を、些細な事から恨み(この時はまだ小さなものだったらしいです)始めたという事でした。
それからは何かとMは自分と比べて、殆ど逆恨みに等しい恨みになっていき、
腹いせに自分の彼女(A)を取ってやろうと思い、言い寄った事があると言う事でした。
これについては、Aからも聞かされた事があります。
しかしAは全く振り向かず、次第にMはAに本気になっていったらしいのです。
でもAが全く振り向かない為、段々と憎しみに変わり、やはり恨みの矛先を自分に向けたという事でした。
そんな時に、あの神社の事件に自分が関わっている事を知ったMは、
(おそらく大人たちが話しているのを偶然聞いたのだろう、と言っていました)
あの神社へ行き、あの大木に「Tを呪い殺せ」と叫びながら藁人形に釘を打ち込んでいたと言うのです。
神社の悪霊たちはMを取り込もうとしたけど、あまりの怨念の凄まじさに逆に利用される形になってしまったと・・・。
そしてMは、自分自身が悪霊になって俺を取り殺し、Aを自分の元に引きずり込もうと、最悪の決断をしたのだそうです。
他のメンバーは、ただの生け贄程度にしか考えていなかったそうです。
最初はAも他の人もろとも殺そうと考えましたが、お守りや兄の友人に邪魔されて、
急遽自分を偽の電話で呼び出す事にしたそうです。
あ、重要な事を言ってませんでした。肝試しが始まった時は、Mはすでに死んでいたそうです。
大木に打ち付けてある自分に見立てた藁人形を、睨みつけている様に首を吊っていたとの事でした。
(だからあの時、自分だけが見ない方がいいと言われたのでしょう)
悪霊を使役して自分たちを取り殺そうとしましたが、お守りがあった為に上手くいかず、
悪霊を神社の外に出れるようにしたりして手を加えましたが、
あの時、自分たちは見えてなかったけど、兄の友人たちが必死で自分たちを守っていたと教えられました。
そして、お守りが身代わりになる様に弾けた為、その力で神社に押し戻されたという事なのです。
浄化の際には、大木に身を隠して浄化されたと見せ掛けて、怨みを募らせながら機会を伺っていた。
そして、Eを見つけたMが再び行動を起こしたというのですが、
今度はかつて自分が利用しようとしたご神体に阻まれ、その憎悪に終止符を打たれたという事でした。

自分はなんて言っていいのか判りませんでした。
自覚なかったとはいえ、自分が発端になっていた事を知り、ショックを隠し切れませんでした。
「そっか・・・だからMは消える間際に・・・」
他の二人はよく聞こえてなかったらしいのですが、自分にはハッキリと聞こえていました。
「なんで・・・どうして・・いつもお前ばかり・・」
自分は泣いていました。
巻き込んだ人に対して、Mに対して申し訳ない気持ちと、自分に対しての怒りで泣きました。
「もう終わったんだよ?大丈夫、大丈夫だから」
Aも泣きながらそう言いました。
「パパ、ママ、どこか痛いの?さっきのお兄ちゃんになにかされたの?」
Eが心配そうに見つめていました。
自分は二人を思い切り抱きしめて泣きました。
もうあの悪夢は終わった・・・・。そう思い、自分は罪悪感と安堵感に包まれていました。


原著作者「怖い話投稿:ホラーテラー」「匿名さん」 2009/10/19 23:55

あの事件の後、自分たちは亡くなった人たちのお墓を回りました。
兄の友人たちのお墓で深い感謝の気持ちを伝え、毎年お参りに来ると約束しました。
Mのお墓にも行きました。
本当は実家にもお線香をあげに行きたかっのですが、引っ越した後で行方が判らないとの事でした。
魂のないお墓・・。自分はMになんと言えばいいのか判らず・・・線香をあげて手を合わせて祈る事しかてきませんでした。

あのMに襲われて怪我をしたクラスメイトたちも、今は皆元気にしているそうです。
(神社に入ってからの記憶は無いみたいですが)
近々同窓会でも開こうと通達が来ました。
あ、それから、娘のEも今は小学校に上がり元気です。
あの後、どうも神様に触れられたEは特別らしくて、
退魔士の方たちが「うちにお向かえ頂く事はできないでしょうか?」と頼み込んできました。
無論、丁重にお断りしましたが・・・。
Eの霊的防御力は凄まじい物になっているらしく、並の悪霊とかは近づくことすら出来ないと言っていました。
喜んでいいのやら・・・Aは苦笑いしていましけど・・・。
後、他の神社などに行った時に、自分たちは守ってくれている存在がいっばいいると告げられました。
皆が守ってくれている・・・。自分は彼等に、感謝の気持ちを一生忘れないと思います。
最後にあの神社ですが、
今では昔の面影も無く、境内で子供たちが遊んでいたり、たまに祭が開かれる等、大変賑わっています。
でも、自分たちはあの事件を忘れません。
亡くなった人の為にも、これから神社に行く人の為にも、
この話をなるべく正確に伝え、忘れられない様にする為に、自分はこうして投稿を決意しました。

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[ 2012/05/15 ] ホラーテラー | この記事をツイートする | B!


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