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『変愛』2/2

「『変愛』1/2」の続き
原著作者「怖い話投稿:ホラーテラー」「山下の息子さん」 2011/06/07 00:32

それから数ヶ月が経ち、夏休みとなった。
進学校である我々の高校では、夏期講習と称して夏休みも授業が行われていたのだが、
講習の後にはバスケ部の練習が待っていた。
それほど力を入れていない、自由参加のいいかげんな練習であったが、
我々は佐戸川先輩の目もあるので、練習日は毎回参加することにしていた。
そして練習後には、私と佐戸川先輩とムーミンとでファミレスに行ったりしたのだが、そこにはたまにヘラ美先輩もいた。

ある日の練習後、ファミレスに行くと、その時もヘラ美先輩が既に来ていて私たちを待っていた。
ヘラ美先輩は今度は頭を怪我したようで頭に包帯を巻いており、左足も怪我したのか、ギプスで固定しており、
右腕は相変わらず骨折しているようでギプスで固定していて、包帯で首から吊るしていた。
骨折していない左腕で杖をつき、右足のみで歩くという非常に危うい状態であった。
「その怪我、どうしたんです?」
私が訊ねると、ヘラ美先輩は「ちょっと。転んじゃった」と言った。
そして佐戸川先輩の顔を見て、いたずらっぽく舌を出した。

ファミレスを出た後は、佐戸川先輩が彼女の荷物を持ち、
「大丈夫?」「痛くない?」などと言って、優しげに彼女に声をかけてサポートし、
ヘラ美先輩はそれに対して笑顔で返していたのだが、
そもそもなぜこのような状態で彼女がわざわざファミレスに来たのか、私は少し疑問に感じた。

両先輩方と別れた後、私はムーミンとヘラ美先輩の怪我について話をした。
「ヘラ美先輩って何か骨の病気なの?すぐに骨折するし」
私がムーミンに問いかけると、ムーミンは「知らないけど、たぶん今の腕の骨折は嘘よ」と言った。
「嘘?何でわざわざ動きにくいギプスなんかするの?」
私が再度問いかけると、ムーミンは「知らないけど、何かそんな気がする」と言った。
結局、結論は出ず、私は何かモヤモヤしたものを抱えたままムーミンと別れ、一人家路についた。


その練習から4,5日して、私はムーミンからヘラ美先輩が入院したという話を聞いた。
自宅マンション2階の階段の踊り場から転落したという話であった。
「お見舞い、行かなきゃね」
ムーミンがそう言うので、私は佐戸川先輩から彼女が入院している病院の住所を聞き、ムーミンと共に病院へ向かった。

事前に何の連絡もせず、いきなり病室に行ったにも関わらず、ヘラ美先輩は笑顔で迎えてくれた。
「よく来た。ちこう寄りなさい」
ヘラ美先輩はそう言って、私たちを彼女の寝ているベッドの近くに呼び、
ムーミンは途中の花屋で買った花を彼女に渡して、何か花についての説明をした。
私はヘラ美先輩と何を話すべきか分からなかったので、話はムーミンにまかせておいた。
するとムーミンは「ちょっと、何か飲み物買ってきます」と言って、一人で売店へ向かってしまった。
ヘラ美先輩への私の恋心を思って、ムーミンが変な気を使ったのかも知れなかった。
私はヘラ美先輩と2人取り残され、何か会話しないとと焦っておかしなことを言ってしまった。
「その怪我、ディー・ブイですか?」
私の突然の質問に、ヘラ美先輩は「へ?」といった感じでキョトンとした。
「佐戸川先輩の、ドメースチック・バイオレンスですか?」
私の再度の問い掛けに、ヘラ美先輩は無言で目を大きくして驚いた顔をした。
私はなんとなく直感で、ヘラ美先輩の怪我が実は転落事故ではなく、佐戸川先輩の暴力によるものと考えていた。
その心の中での推察が、ふいに口から出てしまったのであった。
「違うよー。自分でやったの。佐戸チンは優しいよ」
ヘラ美先輩はそう答え、私はそれ以上返す言葉が見つからず、石像のように押し黙った。
「きゃーっ!冷たい。聞いてなかったけどぉ、コーラで良かったですか?」
ムーミンがそう言いながら部屋に戻ってきた。

怪我を『自分でやった』とはどういうことなのか。
飛び降り自殺?マンション2階の階段みたいな低い位置から?
私が彼女の怪我の理由について無言のまま推察していると、後ろから声が聞こえた。
「あら。お客さん?」
私の後ろには中年の女性がいて、どうやらヘラ美先輩の母親のようであった。
「バスケ部の男の子たち。お見舞いに来てくれたの」
ヘラ美先輩に紹介され、私とムーミンは母親に軽く会釈した。
すると母親は、「わざわざ悪いわねえ。この子、佐戸川くんに一途だから。ご迷惑おかけして」と言った。
佐戸川くんに一途?それと怪我に何の関係があるのだろうか。
私は頭の中をぐるぐる回転させて思考したが、結局、結論はでなかった。
そして私は、更につっこんで怪我の理由をヘラ美先輩や母親に聞いてみる勇気も持ちあわせてはいなかった。


それから1週間もすると、夏休みの練習に佐戸川先輩は姿を見せなくなった。
毎回私たちよりも早く来て練習に打ち込んでいた佐戸川先輩。
どうして来なくなったのだろうか。ヘラ美先輩の入院と何か関係があるのだろうか。
他の先輩に聞いても誰も理由を知らず、私は悶々とした日々を過ごした。

そしてそんなある日の夜、ムーミンからうちの家に電話があった。
ムーミンは泣きはらした後のような、いつになく少ししゃがれた声をしていて、
電話口の向こうで泣きながら私に話をしてきた。
『ヘラ美さん、亡くなったってよぉ』
私はショックを受け、その後のムーミンとの会話はよく覚えていない。
後に聞いた話では、ヘラ美先輩は病院を退院する日になって、
今度は病院の2階の窓から、下の駐車場に飛び降りたのだという。
2階であり、高さはそれ程なかったのだが、たまたま打ち所が悪く、そのまま即死のような形で亡くなったのだという。
私は頭の中が真っ白になり、ただ『なぜなのか、なぜなのか』と、頭の中で自問を繰り返した。

ムーミンは佐戸川先輩と連絡を取り合っていたのか、葬式の日取りなどを知っており、
私はムーミンや佐戸川先輩と一緒に、ヘラ美先輩の葬式に行くこととなった。

葬式当日。男たち3人は喪服に着替え、ヘラ美先輩の葬式が行われる斎場に来た。
佐戸川先輩がヘラ美先輩と特別な関係にあったためか、友人代表のような形で、私たちはヘラ美先輩の遺体とも対面した。
ヘラ美先輩との最後のお別れ。
無宗教式か何式か分からないが、我々は親族と共に横二列の席に座り、
5メートルほど離れた前方には、ヘラ美先輩がいる綺麗に飾られた白い棺があった。
順番に一人一人が席を立ち、ヘラ美先輩の遺体と対面しては、
棺近くの台座に置かれていた花を棺の中へと入れていった。
私の番になり、私はムーミンと共に立って、棺に近づいた。
そして棺の中を覗いた私たちはギョッとして驚いた。
中にいたヘラ美先輩。生きているのとさほど変わらないような、いつものヘラ美先輩。
しかしそのヘラ美先輩の頭には包帯が巻いてあり、腕にはギプスが付いていた。足にもギプス。
顔は出ていたが全身がかなりの割合で包帯でグルグル巻きになっていた。
全身やけどをした訳ではないのに、なぜこのように包帯姿なのか。
これから荼毘に付すに違いないのに、なぜギプスを付けたままなのか。
驚きながらも私たちは花を棺に入れ、心の中でヘラ美先輩の冥福を祈りつつ席に戻った。

席に戻ると、私の前の席に座っていたヘラ美先輩の母親が後ろに振り返り、私たちに話しかけてきた。
「変に思ったかも知れないけどね、娘の希望だったからね」
母親は少し涙ぐみながら私たちにそう言った後、何かを懇願するような顔をして、
私の右隣にいた佐戸川先輩の顔を見つめた。
『変に思った』というのは、先程の包帯姿の話だろうか。
なぜそのような姿をヘラ美先輩は希望したのだろうか。

私たちの次の順番は佐戸川先輩で、佐戸川先輩は席を立ち、ヘラ美先輩の棺に向かった。
私たちと同じように棺を覗いた後、一瞬ギョッとした佐戸川先輩であったが、
早々に花を棺に入れた後、何かモゾモゾと動き出した。
モゾモゾ、モゾモゾ。
少し俯きながら動いている。
ヘラ美先輩と最後の会話をしているのだろうか。
こちらからは佐戸川先輩の後ろ姿しか見えず、何をしているのかは不明であった。
すると、不思議に思っている私の様子に気づいてか、
ムーミンが「男として最後のお別れをしているんでしょ」と、意味深なことを言った。
そのムーミンの言葉が聞こえたのだろうか、
「お前、何しとるんや!!」と、ヘラ美先輩の母親の隣に座っていた男、
おそらくはヘラ美先輩の父親と思われる中年男が唐突に席を立ち、佐戸川先輩に掴みかかっていった。
父親が佐戸川先輩の体をグイと引き寄せ、こちらに向けさせると、
佐戸川先輩の喪服のズボンの、いわゆる『社会の窓』からイチモツが丸出しになっていた。
父親は佐戸川先輩に殴りかかり、私たちや親族など席に座っていたものは皆が席を立ち、父親を止めに入った。
「やめてー!やめてあげて!あの娘の希望だから!お父さん、やめてあげて!」
ヘラ美先輩の母親はそう叫び、父親を必死に制止しようとしていた。
皆が父親を止めている最中、私がふとヘラ美先輩の棺を覗き込むと、
包帯姿のヘラ美先輩の遺体には、既に佐戸川先輩の白濁液がかかっていた。
これがヘラ美先輩の希望?

私は訳が分からず、式場の混乱の中、頭を冷やすためムーミンと一緒に外へ出ることにした。
「そういうのが好きな人もいるのよ」
式場の中庭に出て、外の空気を吸っていると、ムーミンが思わせぶりにそう言った。
「そういうのって?」
私が問いかけると、
「怪我をしている人とか、障害を持った人とか、ハンディキャップのある人。そういう人を好きな人がいるのよ」
ムーミンはそう言い、少し目に涙を浮かべながらこう続けた。
「佐戸川さんがそういう人だから、ヘラ美さんも必死だったと思うのね。
 最後に包帯姿になった気持ち。ムーミン、わかる気がする」
ヘラ美先輩は最後まで佐戸川先輩にとって魅力的な女性であろうと、死してまで包帯姿になったということか。
そしてそのヘラ美先輩の気持ちに、佐戸川先輩は自慰をすることで応えたのだろう。

私たちは外の空気を吸って冷静になると、佐戸川先輩のことが気になりだした。
あのまま殴られて大丈夫なのだろうか。
先程の会場に戻ってみると、既にそこに佐戸川先輩の姿はなかった。
私たちが佐戸川先輩を探し斎場中を歩きまわっていると、ヘラ美先輩の母親を見つけた。
母親は我々を見ると何故か深々とお辞儀をし、我々に近づいて話しかけてきた。
ヘラ美先輩が佐戸川先輩に心底惹かれていたこと。
ヘラ美先輩がたまたま骨折の怪我をして以来、それが治ってもギプスを続けたこと。
それが佐戸川先輩のためであったと知ったこと。
時にはヘラ美先輩は自ら骨折してまで、怪我をしている状態にこだわっていたこと。
止めてあげたかったが、娘の気持ちを考えると自分にはできなかったこと。
ヘラ美先輩の母親は、そのようなことを私たちに話した。
母親は佐戸川先輩の行方を知らなかったので、私たちはその後も少し佐戸川先輩を探しまわった。

再び中庭に出て、探すのを一旦やめて少し休んでいると、ムーミンが不意に視線をあげた。
何かと思い、彼の視線の先を見ると、そこには隣接する火葬場の煙突があり、煙突の先から煙が出ていた。
おそらくはヘラ美先輩の火葬が行われたものと思われた。
すると突然、ぐじゅ、ぐじゅ、と変な音を出しながら鼻水を撒き散らし、ムーミンが泣き出した。
斎場に来てからなぜか少しクールなキャラであった彼だが、ここに来て悲しみが限界に来たようだ。
「汚ねえな、鼻水出すなよ」
私はそう言いながらも、彼を気遣い、両手を横に大きく広げ、作り笑顔をして、
「泣くか?俺の胸で泣くか?」と、ガラにもないギャグを放った。
ムーミンがそれで笑って、少しは気が晴れると思ったからだ。
しかしムーミンは少しも躊躇せず、私の胸に飛び込んできてオイオイと泣き出した。
私はギャグを真面目にとられたことに驚きつつも、不可抗力でムーミンをそのまま強く抱きしめた。
男同士、強く強く抱き合いながら、私は煙突から空に向かって立ち上るヘラ美先輩の煙を見つめた。
ちょうどお昼時、太陽は私たちの真上にあり、日差しが強く照りつけていた。


それから、十数年の月日が経過し、私たちは30才になった。
ちょうど30才になったから久々に会おう、ということで、私とムーミンは5年ぶりくらいに再開した。
私はワープアで、高校時代から童貞のままであり、ムーミンは男娼のようなことをして日銭を稼いでいた。
特に現状、華々しい人生を謳歌している訳でもない以上、私たちの会話は必然的に昔話となった。
「アベイショフィリアって言うらしいよぉ」
喫茶店で軽食をとり、散歩がてらに2人で街を歩いていると、ムーミンがそう話した。
「何それ?」と私。
「佐戸川さんみたいの。怪我人とか障害者への性的倒錯ね」
「ふうん」
私はそれ以上の返答が思い浮かばず、その場にはしばしの沈黙が流れた。
そして返答を考えるうち、私の中にはなぜか怒りが込み上げてきて、私は少し捲し立てるようにこう言った。
「ていうかさー、言わば変態でしょ。そういう人が女にモテてさ。そりゃイケメンかも知れないけどさ、おかしくない?
 要するに、女性が虐げられた状態に興奮するみたいなことでしょ?女性への人権侵害じゃないのかね?
 だいたいあの怪我だって、ヘラ美先輩が自分でしたことになってるけど、本当はどうなんだか。
 佐戸川先輩がやったんじゃないの?
 はっきり言って。女もさあ、何であんなのと付き合ってんだ?はっきり言って」
私が積年の思いをそう話すと、
ムーミンは「佐戸川さんがモテる理由は分からないけど、キミがモテない理由はわかる気がする」と言い、話を茶化した。
するとその時、前方から突如として何者かが声をかけてきた。
「よお、お前ら。相変わらずだな」
それは10数年前と変わらず、非常にハンサムで、スタイルの良い男。佐戸川先輩であった。
先輩は車椅子を押しながら歩いていて、車椅子には若くて綺麗な女性が座っていた。
女性はにこりと微笑み、私たちに軽く会釈すると、無言のまま腹部に手を当て、ゆっくりと自らの腹部をさすった。
幸せそうな顔をして少し膨らんだ腹部をさする女性。妊娠しているのだろうか。
私は佐戸川先輩に返す言葉が見つからず、ただじっと、笑顔で腹をさする女性を見ていた。
「じゃあな」
佐戸川先輩はそう言って、車椅子を押しながら私たちの横を抜け、街の雑踏の中へと消えていった。
「全くわからないよな」
私はなぜか少し涙目になって、ムーミンにそう訴えた。
「そう?」
ムーミンは私の問い掛けに、曖昧な返事を返した。
「うわっ!」
その時、道路のちょっとした段差につまずき、私は前につんのめって転びそうになった。
気を取り直し少し早足で歩こうとして失敗したのだ。
「もう30なんだから。おじさん無理しないで」
ムーミンはそう言って笑った。
「女の気持ちなんてね、難しいことないの。教えてあげるから。ムーミンが」
ムーミンが少し胸を張ってそう言うので、私は「じゃあ、教えてよ、女心をつかむ極意を」と返した。
するとムーミンは、
「女心をつかむ極意?それはね……、グゲホッ!ゴホッ!ホッ!オッホ、ウッ、ウッ、グッホッ!」
と、一人で勝手に言葉をつかえ、むせて苦しみだした。
「もう30なんだから。おじさん無理しないで」
私はそう言って笑った。
「まあ、お互い年取ったな」
私はそう言いながら、ふと空を見上げた。
昼時はとうに過ぎ、既に太陽は私たちの頭上にはなかった。
先程まで照りつけていた日差しは既に弱まり、陽が沈み始めていた。

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[ 2012/06/20 ] ホラーテラー | この記事をツイートする | B!


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